こんにちは。
おうち購入研究所、埼玉担当の寺腰です。
最近、住宅購入のご相談を受けていると、次のようなお話を聞く機会が増えています。
「新築住宅は予算的に厳しいので、中古戸建ても検討しています」
「中古戸建てを探し始めたのですが、何を確認すればいいのかわかりません」
「中古住宅は新築より安く買えると聞きましたが、本当にお得なのでしょうか」
建築費や土地価格が上昇している中で、中古戸建てを選択肢に入れる方は増えています。
同じ予算で比較した場合、新築住宅よりも広い家を選べたり、希望するエリアで物件を見つけやすくなったりする可能性があることは、中古戸建ての大きなメリットです。
一方で、中古戸建ては、ポータルサイトに掲載されている物件価格だけを見て判断すると、購入後に思わぬ費用が発生することがあります。
建物の状態、耐震性、リフォーム費用、土地の権利関係、住宅ローンの組み方など、確認すべき項目は新築住宅よりも多くなる傾向があります。
見た目がきれいだから。
価格が予算内だから。
希望するエリアで見つかったから。
その理由だけで購入を急いでしまうと、契約後に「こんな費用がかかるとは思わなかった」「希望していたリフォームができなかった」という事態になりかねません。
中古戸建ての購入で大切なのは、安い物件を見つけることではありません。
建物の状態や将来必要になる費用まで確認したうえで、ご家族が無理なく住み続けられる物件を選ぶことです。
今回は、中古戸建てを購入する前に知っておきたい7つの注意点について、住宅購入の資金計画を支援する立場から詳しくお伝えします。
中古戸建てを買う前に確認したい7つの注意点
1.「表示価格」だけで購入予算を考えない
中古戸建てを探す際、多くの方が最初に見るのは、不動産ポータルサイトに掲載されている物件価格だと思います。
例えば、3,000万円の中古戸建てが掲載されていれば、「3,000万円程度の住宅ローンを組めば購入できる」と考えてしまうかもしれません。
しかし、掲載されている価格は、基本的には土地と建物の売買価格です。
実際に中古戸建てを購入する際には、物件価格以外にも、さまざまな費用がかかります。
- 不動産会社へ支払う仲介手数料
- 登記費用や司法書士報酬
- 住宅ローンの事務手数料や保証料
- 火災保険料や地震保険料
- 固定資産税や都市計画税の精算金
- リフォーム費用
- 引っ越し費用
- 家具や家電の購入費用
仲介手数料については、物件価格に応じた上限額が法律で定められています。
3,000万円の中古戸建てであれば、仲介手数料だけでも100万円前後になることがあります。
さらに、住宅ローンや登記に関する費用、保険料などを加えると、諸費用だけでも数百万円になる可能性があります。
中古戸建てでは、これにリフォーム費用が加わります。
壁紙や床材などの内装を変更する程度であれば、比較的費用を抑えられる場合もあります。
しかし、キッチン、浴室、トイレ、洗面台といった水回り設備を交換し、屋根や外壁の修繕まで行う場合は、500万円から1,000万円以上かかることもあります。
建物の状態や希望する工事内容によっては、それ以上の費用が必要になることも珍しくありません。
例えば、物件価格が3,000万円だったとしても、諸費用が250万円、リフォーム費用が500万円かかれば、必要な総額は3,750万円です。
さらに、家具や家電、引っ越し費用などを含めると、4,000万円近くになる可能性があります。
物件価格だけを見て「予算内」と判断してしまうと、購入後の家計に大きな負担がかかります。
中古戸建てを検討する際は、必ず次の金額を合計して考えてください。
- 物件価格
- 購入時の諸費用
- 入居前に必要なリフォーム費用
- 近い将来に必要になる修繕費用
中古住宅の購入では、「表示価格がいくらか」ではなく、「安心して住み始めるまでに総額でいくら必要か」を確認することが重要です。
2.築年数だけでなく、耐震性を確認する
中古戸建てを購入する際に、必ず確認していただきたいのが建物の耐震性です。
日本の建築基準は、過去の大きな地震被害などを踏まえて、何度も見直されています。
一般的に一つの目安とされるのが、1981年6月1日です。
この日より前に建築確認を受けた建物は、いわゆる旧耐震基準で建てられている可能性があります。
1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は、新耐震基準に基づいて建てられていることが一般的です。
ただし、「1981年以降に完成しているから必ず新耐震基準」というわけではありません。
確認したいのは完成年月だけではなく、建築確認を受けた時期です。
また、木造住宅については、2000年頃も一つの確認ポイントになります。
2000年の基準改正では、地盤に応じた基礎の設計や、柱と梁などの接合部、耐力壁の配置などに関する考え方がより明確になりました。
そのため、1981年以降に建てられた木造住宅であっても、2000年より前の建物については、耐震診断を検討した方がよいケースがあります。
もちろん、築年数だけで建物の安全性を判断することはできません。
適切にメンテナンスされている古い住宅もあれば、比較的新しくても、雨漏りやシロアリ被害などによって構造部分が傷んでいる住宅もあります。
耐震性を確認する際は、次の項目を確認しましょう。
- 建築確認を受けた年月
- 建築当時の図面や確認済証の有無
- 耐震診断を実施した履歴
- 耐震補強工事を行った履歴
- 増改築の有無
- 雨漏りやシロアリ被害の有無
旧耐震基準の建物だから、必ず購入してはいけないということではありません。
ただし、耐震補強工事が必要になれば、購入後に追加費用が発生します。
物件価格が安くても、耐震補強や大規模修繕に多額の費用がかかれば、結果として新築住宅と大きく変わらない総額になる可能性もあります。
中古戸建てでは、築年数だけを見るのではなく、「今後も安心して住み続けられる状態か」という視点で確認することが大切です。
3.建物状況調査やホームインスペクションを検討する
中古戸建ての内覧では、室内の明るさや間取り、キッチンや浴室のきれいさに目が向きがちです。
しかし、本当に確認しなければならないのは、見た目だけではわからない建物の状態です。
例えば、次のような不具合は、一般の方が短時間の内覧だけで見抜くことは簡単ではありません。
- 屋根や外壁からの雨漏り
- 床下のシロアリ被害
- 基礎部分のひび割れ
- 柱や梁の腐食
- 給排水管の劣化
- 床や建物の傾き
- 断熱材の施工状態
そこで検討したいのが、建物状況調査やホームインスペクションです。
建築士などの専門家に建物の状態を確認してもらうことで、目視可能な範囲の劣化や不具合を把握しやすくなります。
調査費用は、建物の広さや調査内容によって異なりますが、一般的には数万円から10万円前後が一つの目安です。
決して安い費用ではありません。
しかし、数千万円の住宅を購入した後に、数百万円単位の修繕が必要になるリスクを考えれば、購入前に建物の状態を確認する価値は大きいと考えます。
特に注意したいのが、リフォーム済みの中古戸建てです。
壁紙や床材、キッチンなどが新しくなっていると、建物全体がきれいに見えます。
しかし、内装がきれいであることと、構造部分や屋根、配管などに問題がないことは別の話です。
表面がきれいになっている分、以前の雨漏り跡や壁のひび割れが見えにくくなっている可能性もあります。
法律上、すべての中古住宅で建物状況調査が義務付けられているわけではありません。
また、調査を実施したからといって、建物のすべての不具合を発見できるわけでもありません。
それでも、購入前に専門家の意見を聞くことで、購入後のリスクを減らせる可能性があります。
実施する場合は、可能であれば売買契約を締結する前に、不動産会社や売主と相談しながら進めましょう。
「この物件は問題ありません」と言われただけで安心するのではなく、根拠となる資料や調査結果を確認することが大切です。
4.契約不適合責任の範囲を確認する
中古戸建ての売買契約では、「契約不適合責任」について確認する必要があります。
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容に適合していなかった場合に、売主が負う責任のことです。
例えば、契約時に説明されていなかった雨漏りやシロアリ被害などが引き渡し後に判明した場合、契約内容によっては、修理や代金減額などを求められる可能性があります。
ただし、中古住宅では、売主が個人の場合も多くあります。
個人間売買では、契約不適合責任の期間を短くしたり、一部または全部を免責としたりする特約が設けられることがあります。
そのため、「不具合が見つかれば、必ず売主に修理してもらえる」と考えるのは危険です。
契約前には、次の内容を確認してください。
- 契約不適合責任を負う期間
- 責任の対象となる箇所
- 免責となる項目
- 雨漏りやシロアリ被害などの告知内容
- 付帯設備表の記載内容
- 過去の修繕履歴
エアコン、給湯器、食洗機、浴室乾燥機などの設備については、建物本体とは別の扱いになることもあります。
設備が故障していた場合に、誰がどこまで対応するのかも確認しておきましょう。
契約書には専門用語が多く、内容がわかりにくい部分もあります。
わからないまま署名や押印をするのではなく、不動産会社へ質問し、納得できるまで説明を受けることが大切です。
また、免責条項がある場合には、建物状況調査、告知書、修繕履歴などを確認し、購入後に想定外の負担が発生しないように準備しておきましょう。
5.住宅ローンはリフォーム費用まで含めて考える
中古戸建ての資金計画で多い失敗が、住宅ローンの借入額を物件価格だけで考えてしまうことです。
中古戸建てでは、購入と同時にリフォームが必要になることがあります。
しかし、住宅ローンの事前審査を物件価格だけで進めてしまうと、後からリフォーム費用をどのように準備するかで困る可能性があります。
中古住宅の購入費用とリフォーム費用を借りる方法には、いくつかの選択肢があります。
- 物件購入費とリフォーム費用をまとめて住宅ローンで借りる
- 物件購入費は住宅ローン、リフォーム費用は別のローンで借りる
- リフォーム費用の一部または全部を自己資金で支払う
金融機関によっては、中古住宅の購入費とリフォーム費用をまとめて借りられる、リフォーム一体型の住宅ローンを取り扱っています。
一方で、対象となる工事、必要書類、審査方法、融資が実行される時期などは、金融機関によって異なります。
先に物件を購入し、後からリフォームローンを組もうとした場合、想定していた金額を借りられない可能性もあります。
また、リフォームローンは、住宅ローンと比べて返済期間が短く、金利が高くなることがあります。
例えば、物件価格3,000万円、リフォーム費用500万円、諸費用250万円の中古戸建てを購入する場合、必要な総額は3,750万円です。
このうち、どこまでを住宅ローンで借りるのか、自己資金をいくら使うのかによって、購入後の家計は大きく変わります。
自己資金を多く入れすぎると、購入後の生活費や緊急予備資金が不足する可能性があります。
反対に、借入額を増やしすぎると、毎月の返済負担や総返済額が大きくなります。
大切なのは、住宅ローンの審査に通るかどうかだけではありません。
リフォーム費用や諸費用まで含めた総額を借りても、教育費、車の買い替え、住宅の修繕、老後資金を準備できるかを確認することです。
中古戸建ての住宅ローンは、物件を決めてから考えるのではなく、物件探しを始める前に資金計画を整理しておくことをおすすめします。
6.建物の構造・工法によってリフォームできる範囲が異なる
中古戸建てを購入して、自分たちの暮らしに合わせてリフォームしたいと考える方は多いと思います。
しかし、どの建物でも希望どおりに間取りを変更できるわけではありません。
リフォームできる範囲は、木造、鉄骨造、RC造といった構造だけではなく、建物の工法や設計によって異なります。
木造住宅であっても、建物を支えている柱や耐力壁を自由に撤去することはできません。
鉄骨造でも、建物の構造やメーカー独自の工法によって、壁や柱を変更できる範囲が異なります。
RC造についても、柱と梁で建物を支える構造なのか、壁で建物を支える構造なのかによって、間取り変更の自由度は変わります。
そのため、「購入後に壁をなくして広いLDKにしたい」「1階をすべてつなげたい」と考えていても、構造上実現できない場合があります。
また、間取り変更が可能であっても、大規模な補強工事が必要になり、想定以上の費用がかかることもあります。
中古戸建ての購入前には、次の資料を確認できると安心です。
- 建築当時の設計図面
- 構造図
- 増改築の履歴
- 確認済証や検査済証
- 過去のリフォーム記録
希望するリフォームがある場合は、物件を購入してから相談するのではなく、購入前に建築士やリフォーム会社へ相談しましょう。
物件資料や図面を見てもらい、「何ができるか」「どの程度の費用がかかるか」を確認してから購入を判断することが大切です。
7.前面道路と土地の権利関係を確認する
中古戸建てを検討する際は、建物の状態だけでなく、土地や道路の条件も確認しなければなりません。
特に注意したいのが、前面道路、私道の持分、接道状況、セットバック、再建築の可否です。
前面道路が私道の場合
物件の前面道路が私道の場合は、その道路の所有者や持分を確認する必要があります。
私道の持分がない場合、将来、水道管やガス管の工事をする際に、道路所有者の承諾が必要になることがあります。
道路の補修費用や管理方法をめぐって、近隣住民とトラブルになる可能性もあります。
私道だから購入してはいけないということではありません。
ただし、誰が所有し、通行や掘削についてどのような権利があるのかを確認しておく必要があります。
セットバックが必要な場合
前面道路の幅が一定の基準を満たしていない場合、建て替えの際に、敷地の一部を道路として後退させるセットバックが必要になることがあります。
セットバック部分には、原則として建物や塀などを設置できません。
そのため、登記上の土地面積と、実際に建物を建てるために使える面積が異なる場合があります。
将来の建て替えや増築を考えている場合は、セットバックによって建築できる建物の大きさがどの程度変わるのか確認しましょう。
再建築不可物件の場合
建築基準法上の接道義務を満たしていない物件は、現在の建物を解体すると、新しい建物を建てられない可能性があります。
こうした物件は、一般的に再建築不可物件と呼ばれます。
再建築不可物件は、周辺相場より安く販売されていることがあります。
しかし、住宅ローンの審査が厳しくなったり、金融機関によっては融資対象外になったりする可能性があります。
将来売却する際も、購入できる人が限られ、売却しにくくなることがあります。
価格の安さだけで判断せず、住宅ローン、建て替え、将来の売却まで含めて慎重に考える必要があります。
中古戸建ては「安く買えるか」ではなく「安心して住み続けられるか」で考える
中古戸建てには、新築住宅にはない魅力があります。
すでに建物が完成しているため、日当たりや周辺環境を確認しやすく、希望するエリアで予算内の住宅を見つけられる可能性もあります。
一方で、建物の状態や修繕履歴によって、購入後に必要となる費用は大きく異なります。
物件価格が安く見えても、リフォームや耐震補強、屋根・外壁の修繕に多額の費用がかかれば、家計への負担は小さくありません。
住宅ローンの返済が始まった後に、給湯器や屋根、外壁などの修繕が重なることもあります。
そのため、中古戸建てを購入する際は、購入時に必要な費用だけではなく、購入後10年、20年で必要になるお金まで考えておくことが重要です。
中古戸建て購入前に確認したいチェックリスト
- 物件価格以外の諸費用を確認したか
- 必要なリフォーム工事と概算費用を確認したか
- 屋根や外壁の修繕時期を確認したか
- 建築確認を受けた時期を確認したか
- 耐震診断や耐震補強の履歴を確認したか
- 建物状況調査を検討したか
- 雨漏りやシロアリ被害の告知内容を確認したか
- 契約不適合責任の範囲を確認したか
- 希望するリフォームが可能か確認したか
- 私道の持分や通行・掘削の権利を確認したか
- セットバックの有無を確認したか
- 再建築が可能な物件か確認したか
- リフォーム費用を含めた住宅ローンを検討したか
- 購入後の修繕費を含めてライフプランを確認したか
まとめ|中古戸建ては物件価格だけで判断しないことが大切です
中古戸建てを購入する前に確認したいポイントをまとめます。
- 表示価格に諸費用とリフォーム費用を加えた総額で考える
- 築年数だけでなく、耐震基準や建物の状態を確認する
- 建物状況調査やホームインスペクションを検討する
- 契約不適合責任の期間や免責範囲を確認する
- リフォーム費用まで含めて住宅ローンを考える
- 構造や工法によって希望するリフォームが可能か確認する
- 前面道路や私道、セットバック、再建築の可否を確認する
中古戸建ての購入で本当に大切なのは、「新築より安いかどうか」ではありません。
購入費用、リフォーム費用、将来の修繕費用まで含めても、ご家族が無理なく暮らし続けられるかどうかです。
住宅ローンの審査に通ったとしても、購入後に修繕費が重なり、教育費や老後資金の準備ができなくなっては、安心できる住宅購入とはいえません。
また、気に入った物件が見つかると、「ほかの方に買われる前に決めなければ」と焦ってしまうことがあります。
しかし、数千万円の住宅を、十分に確認しないまま契約することはおすすめできません。
物件を見て迷ったときほど、一度立ち止まり、建物の状態と資金計画の両方を確認してください。
おうち購入研究所では、住宅会社や不動産会社とは異なる立場から、物件価格、リフォーム費用、諸費用、将来のメンテナンス費用まで含めた住宅購入予算を確認しています。
「この中古戸建てを買っても、家計は大丈夫なのか」
「リフォーム費用を含めると、いくらまでの物件を探せるのか」
「住宅ローンはどのように組めばいいのか」
このように迷っている方は、物件を契約する前に一度ご相談ください。
建物の価格だけではなく、住宅購入後の暮らしまで考えながら、ご家族に合った住宅予算を一緒に整理していきます。
執筆者プロフィール
おうち購入研究所 埼玉担当 寺腰
住宅購入を検討されているご家族に向けて、住宅購入予算の整理や住宅ローン、ライフプランに関するサポートを行っています。
物件価格や毎月の住宅ローン返済額だけではなく、子どもの教育費、車の買い替え、住宅の修繕費、老後資金など、将来必要になる支出まで含めて資金計画を考えることを大切にしています。
住宅を購入することをゴールにするのではなく、住宅購入後もご家族が安心して暮らし続けられることを目指し、一組一組の状況に合わせたサポートを行っています。

